倉庫を設計する際、安全面や作業効率が重視されます。また、建築基準法による内装制限にも配慮が必要です。完成後に指摘されると、修正には膨大なコストと時間がかかります。あらかじめ、内装制限の知識を持って、計画することが重要です。ここでは、倉庫建築に関する注意点を解説しています。倉庫建築を検討している企業は必見です。
倉庫の内装設計における「基本」とは
まず、倉庫設計に必要とされる基礎を理解しましょう。あらゆる業界に共通する事であり、課題解決にも繋がります。戦略を成功させるために重要なポイントです。ここでは、倉庫の内装設計の基本を2つ解説します。効率化を実現する収納
倉庫設計で優先すべきことは効率化です。そこで、高さを活かした収納システムを導入しましょう。天井付近まで使用することで、スペースに無駄が生じません。多くの在庫を保管できるためスムーズな物流が可能です。また、収納物に合わせて、システムを選ぶと良いでしょう。パレットラックシステムは大型の棚です。耐久性に優れており、重量物を扱う業界に向いています。そして、メザニンシステムは、中二階を設けて床面積を増やす収納です。
空間を上手く活かせるため、大量生産を行う業界に良いでしょう。それぞれ、取り出しやすく、出荷作業も効率的に進みます。そして、収納レイアウトも重要です。商品ごとに分けるなど、誰でも把握しやすくしましょう。
また、出荷が多い商品は、入り口付近に配置することが基本です。時間・人員を削減するために、移動距離を短縮します。倉庫設計の工夫で生産性が上がるでしょう。
安全性の確保
倉庫内では多くの人員が稼働しているため、火災・地震から守ることが重要です。安全管理に、高い意識を持ちましょう。そこで、倉庫には火災発生を想定し、最小限に抑える設備を設けます。建築には耐火素材を選び、燃え広がりを防ぎましょう。また、自動火災報知設備・消火器・スプリンクラーなども重要です。どこにいても状況把握しやすく、迅速な避難・消火活動を行なえます。そして、地震対策も重要です。耐震構造を取り入れ、揺れを少なくしましょう。また、収納棚やラックの固定化も行います。商品が落下しにくい環境をつくりましょう。
安全のために配慮が欠かせない3つのポイント
安全管理として、作業中の事故や体調不良を防ぐことも重要です。長時間作業を行なっても、問題ない環境をつくりましょう。ここでは、安全面を強化するための工夫を紹介しています。動線確保
倉庫内でフォークリフトを使う業界は多いでしょう。そこで、導線確保は必須です。混雑を避け、衝突や転倒を防ぎます。とくに、交差点となる箇所は、角度にも気を付けましょう。空調管理
倉庫内は空気が循環しにくい環境です。そこで、換気システムを導入しましょう。猛暑日でも熱がこもりにくく、湿気を逃がします。熱中症対策になるため重要な設備です。また、カビの発生を抑えられるため、商品の安全性も確保できます。採光・照明の工夫
倉庫内を明るくすることで、事故やケガの防止に繋がります。そのため、自然光が入りやすい設計が必要です。大きな窓を設置することで、電気代削減にもなります。また、照明は、明るさが均一になる工夫をしましょう。棚の間などに設置することで、作業がしやすくなります。守らないといけない?内装制限も確認しよう
倉庫建築では、火災を最小限に抑えるために内装制限が定められています。壁・天井の高さが1.2メートル以上ある倉庫は対象です。制限を超えると、建築基準法違反になるため必ず守りましょう。ここでは、内装制限の内容を解説しています。建築材料の規定
壁や天井に、不燃材料・準不燃材料の使用が求められます。不燃材料とは、火災が20分間広がらない素材です。コンクリート・レンガ・瓦・磁器タイルなどがあります。また、石膏ボード・ロックウール・グラスウール板は、耐火性が高く効果的です。そして、準不燃材料とは、火災から10分間燃えない素材を指します。具体的には、厚さ9ミリ以上の石膏ボードや、15ミリ以上の木毛セメント板などです。
構造制限・防火区間
建築物には、耐火建築物と準耐火建築物が存在します。耐火建築物とは、火災発生後に倒壊・延焼を防ぎ、避難ができる状態の建物です。また、準耐火建築物は、防火戸などを設置し、火災の延焼抑制ができる建物を指します。倉庫には一定の面積ごとに、防火区間を設けることが必須です。そこで、耐火建築物・準耐火建築物で、区間面積の規定が異なります。機能性の高い耐火建築物は、広めの区分が可能です。空間を大きく利用したい場合は、建築材料に配慮しましょう。